chapter 55~ chapter 55 “覚悟” ~ 不安定になっている人の持つ負のパワーは強い。 一緒に居て、話をしていても彼女からはマイナスな言葉しか出てこない、 こっちがいくら一生懸命前向きな言葉を言ったり、相談に乗って こうしてみたら、ああしてみたらとアドバイスをしても、まさにのれんに腕押し、糠に釘なのだ。 私も元々、負のパワーを持つ人だったし、まだ自分自身それを必死で打ち消してる時だったから 負の感情に巻き込まれてしまいそうになる時もあった。 いくらこっちからドアを叩いても、うわっつらの返事しか返って来ないとイライラした。 正直「きいてんのかよー!」と思ったし、「こんだけ言ってもわかんないならもう知らん!」と思った事もある。 「生きてるのがつらい、死にたい、つまらない、寂しい」何を言ってもそれらの堂々巡りで進展しない彼女を見て このまま生きているのが本当に彼女にとって幸せなのか、よくわからなくなったりもした。 “こんなに死んでしまいたいと思いながら生きているのに、死ぬのを止めるのは彼女の為にならない?” もう手を引きたい、と思った事もあるけれど、引けなかった。私は昔の自分を思い出していた。 心配するような振りをして優しい言葉をかけてきたくせに、途中で自分の前から消えて行った人達を 私は「嘘つき」だと思っていた。「消えて行くなら、最初から声をかけて来ないで」と何度思ったかわからない。 あの頃、私の周りにいた人もこういう気持ちだったんだろうか。 “嘘つきじゃなかったんだな・・・。心配は本心だったのに、きっとあまりにも私が重すぎたんだ。” そう思ったけれど、それはきっと逆の立場に立ってみて初めて解る事だ。 彼女はまだ解ってはくれないだろう。昔の私と同じ様に、裏切られたと感じ、私を嘘つきだと思うかもしれない。 もう後には引けない。1度手を伸ばしたらその手は引っ込めちゃいけない。 私の言葉が完全に彼女に届くまで伝え続けていなければ、 今まで私の言っていた言葉が彼女の中で全て嘘になる。 あの頃の私みたいに、私の事で『人に裏切られた』なんて思わせてたまるか。 彼女を心配する気持ちは嘘じゃない。彼女の中で私のこの気持ちを偽物には絶対したくない。 彼女は私だ。抜け出せない輪っかにはまってる頃の私だ。まだ抜け方がわからないだけなのだ。 私もまた、踏ん張っていないとその輪っかに戻ってしまいそうなギリギリの所に居たけれど それでも私はもう外に踏み出したのだ。もう2度とその輪っかには戻らない。 “彼女も一緒にその輪っかから連れて出てやる!” お義母さんも彼女を心配して、時々「彼女は最近どうなの?」とよく聞いてくれた。 旦那も、私が話す彼女の話をよく聞いて、全面的に私の味方で居てくれた。 そういう家族が、自分まで輪の中に引きずり込まれそうになる私を支えてくれていた。 きっと彼女を見ている私と同じイライラ感を、旦那もかつて私に対して持っていたと思う。 大変な事だったろう。よく支えてくれていたと思った。ありがたかった。 ◆chapter 55について(日記) へ ◆chapter 56 へ ジャンル別一覧
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